外部連携

創傷治癒を促進するsiRNA製剤(理研No: 22681)

発明者

田中 貴志、改正 恒康 (免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)・炎症制御研究ユニット)

背景

生体では、皮膚組織等が損傷を受けて断裂した際に組織を復元する為の修復機構が備わっており(創傷治癒反応)、正常な創傷治癒の初期過程では炎症反応が見られる。しかし、何らかの原因で修復機構が働かない場合、長期間に渡って傷が治らない難治性創傷となる。このような病態の例としては、
1.寝たきりの場合に起こる褥創、 2.糖尿病・動脈硬化に起因する血管障害による皮膚の潰瘍や壊死、等が挙げられる。これらには有効な既存の治療薬がなく、社会的な問題ともなっている。

技術の概要

発明者らは核内のユビキチンリガーゼの一種であるPDLIM2に着目し、PDLIM2欠損マウスで皮膚の創傷治癒反応が亢進している事を明らかにし、この遺伝子が創傷治癒反応の抑制効果を有することを見出した。そこで、PDLIM2に対するsiRNAを作製し、これをマウスの皮膚創傷部に直接滴下投与した所、創傷治癒が顕著に促進された。このことより、 PDLIM2の抑制機序を利用した創傷治療の本発明に至った。

創傷治癒を促進するsiRNA製剤

(文献情報)

  1. 米国特許:7,960,363 号
  2. 特願2009-254379

利点

  • タンパク製剤に比べて安価な核酸製剤が可能であり、タンパク製剤よりも高い普及率となる可能性。
  • 患部への直接投与が可能であり(DDS 問題での利点)、患者自身の使用時にも利便さを提供可能。

応用が期待される分野

  • PDLIM2 制御に基づく、難治性創傷の新規治療薬の開発。
  • 核酸医薬の開発。

(2012年10月掲載)