新規燐光イリジウム錯体の合成と有機ELデバイスへの応用(理研No: :22371,23365)
発明者
侯 召民、西浦 正芳、Virendra Kumar Rai(基幹研究所 侯有機金属化学研究室)
キーワード
イリジウム錯体、高エネルギー効率、高発光効率
背景
現在、新しい燐光EL材料の研究が活発に行われています。燐光EL材料の代表的な例であるIr(ppy)3 (ppy = ピリジルフェニル)錯体は、立体的な制限からシクロメタル化配位子の修飾が難しいという課題がありました。そこで、シクロメタル化配位子の一つを異なる配位子に置き換える手法が近年検討されるようになり、配位子混合型イリジウム錯体が数多く報告されています。しかしながら自己消光による発光効率低下などの問題を有する化合物が多く、依然、さらに優れた特性を持つ材料の開発が求められています。
技術の概要
本発明者らは、これまで燐光性イリジウム錯体開発に用いられていなかったアミジナート、グアニジナートやジピリジルアミドなど様々な配位子をイリジウム錯体上に導入することにより、従来より優れた発光効率を示すイリジウム錯体の開発に成功しました。
アミジナート配位子の窒素上に異なる置換基を有するイリジウム錯体[(ppy)2Ir{(N-RR`)CPh}]を用い作成した有機EL素子は優れた発光特性を示し、最高72.2 lm/Wの高いエネルギー効率を示しました。これらの化合物は、従来のIr(ppy)3とは異なり、様々なドーピング濃度でも高いEL特性を示すことが明らかとなりました。
グアニジナート配位子の窒素上に種々の芳香族基やアルキル基を有するイリジウム錯体を用いた有機EL素子は優れた発光特性を示し、電流効率が最高137.4 cd/Aに達しました。アミジナート配位子に比べより電子供与性の高いグアニジナート配位子を有するイリジウム錯体は、より高いホール輸送性が期待されます。
ジピリジルアミド(dpa)をアニオン性配位子として用いることによって、dpa配位子を持つ中性イリジウム錯体を合成することに初めて成功し、高いエネルギー効率(123.5 cd/A、43.2 lm/W)を示す優れた緑色発光材料の開発に成功しました。
(文献情報)
- WO2010/061625 他
- Liu, Y.; Ye, K.; Fan, Y.; Song, W.; Wang, Y.; Hou, Z. Chem. Commun., 2009, 3699 他
利点
- アミジナート、グアニジナート、ジピジルアミド等の様々な配位子を有するイリジウム錯体を作製し、従来より発光効率等が優れたイリジウム錯体を提供する
応用が期待される分野
(2012年11月掲載)