エステル結合含有タンパク質の製造方法(理研No:21747)
発明者
坂本健作、小林隆嗣、柳沢達男、向井崇人、横山茂之 (生命分子システム基盤研究領域)
背景
大腸菌などを利用した組換えタンパク質の大量生産技術において、目的タンパク質を精製するために、Hisタグなどのアフィニティタグを末端に融合して発現させることが広く行われている。付加されたタグは目的タンパク質の生理活性に影響を及ぼす可能性があるため、精製後に酵素を用いて切断除去する方法が一般的に行われる。しかし、この従来法では1)酵素は高価なためコストがかかる、2)タグ由来のアミノ酸残基の一部が目的タンパク質に残ってしまう、といった問題があった。
技術の概要
弊所生命分子システム基盤研究領域が保有する非天然型アミノ酸導入技術を応用し、大腸菌内でタンパク質の目的の位置にα-ヒドロキシ酸を導入する技術を開発した。この方法では、目的タンパク質とタグとの間にエステル結合を導入できるため、酵素を使わず温和な条件下(pH9,4℃)でエステル結合を切断してタグを除去することが可能であり、目的タンパク質には余分な配列が残らない。
さらに、最近開発した非天然型アミノ酸導入効率を飛躍的に高めた大腸菌(RF-zero株)を用いることにより、 α-ヒドロキシ酸を導入した目的タンパク質の大量調製が可能となる。
タンパク質の非酵素的な切断の確認
GST (グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)にアルカリ処理を行い、 GSTに導入されたエステル結合がアルカリ分解によって切断されていることが確認された(レーン2)。
(文献情報)
- Kobayashi T, et al. J Mol Biol. 2009 Feb 6;385(5):1352-60.
利点
- 目的タンパク質に余分なアミノ酸配列が残らない。
- 精製用タグを酵素を使用せずpH依存的に切断することができるため低コスト。
応用
- pH依存的な切断を利用したプロドラッグの設計
- 有用たんぱく質の大量生産
(2012年1月掲載)