外部連携

活性体膜タンパク質の合成技術とその応用 (理研No: 21654)

発明者

下野和実、横山茂之 他 (生命分子システム基盤研究領域)

キーワード

膜タンパク質、結晶構造解析、抗体医薬

本技術の特徴

膜タンパク質は医薬品ターゲットの半分以上を占める重要な機能を担ったタンパク質です。効果的なドラッグデザインや抗原調製には質の高い膜タンパク質を大量に合成する必要があります。しかし、従来用いられている大腸菌などの生細胞を用いた方法では、空間的に限定された細胞膜に発現させるため合成量が多いと細胞死を招く、異種の膜タンパクを発現させるため膜に上手く埋まらない等の問題がありました。また、無細胞タンパク質合成系を用いた場合でも膜タンパク質は疎水性が極めて高いため水溶液中で凝集体を形成してしまい、活性を保持した状態の膜タンパク質を大量合成することは極めて困難でした。

この度弊所では上記問題を解決するため鋭意検討した結果、無細胞タンパク質合成系において、界面活性剤と脂質を用いた脂質二重膜環境を構築することにより凝集体形成を回避し、脂質二重膜に組み込んだ状態の活性体膜タンパク質を大量に合成する新技術の開発に成功しました(ref1,2)。

本技術はステロイド系界面活性剤と脂質を大腸菌由来の無細胞タンパク質合成反応液に添加し、透析法によりタンパク質合成とリポソーム形成を同時に進行させるものです。透析が進むと、合成途中または直後の疎水性の高い膜タンパク質は界面活性剤/脂質混合ミセルで保護され、形成された脂質二重膜に自然に挿入されるため、大量の活性体膜タンパク質が効率良く合成されます(図参照)。

弊所ではこれまでに本技術を用いて多くのヒト由来複数回膜貫通型膜タンパク質の合成に成功しており、結晶構造解析だけではなく、抗原調整の実績があります。

本技術を用いれば、活性を有した状態で複数回膜貫通型膜タンパク質を高純度で大量合成できるため、例えば膜タンパク質の結晶構造解析によるドラッグデザインやGPCR等の抗原調整等、創薬において非常に有用な技術として使用できると考えております。

活性体膜タンパク質の合成技術とその応用

(文献情報)

  1. Kazumi Shimono et al, Protein Sciense. 18, 2160-2171 (2009)
  2. 特願2009-540056, US12/741575(登録済), EPC08846826.9

(2011年7月掲載)