外部連携

ブラシノステロイド誘導体を用いた動脈硬化症の予防(理研No: 21584)

発明者

小川健司(基幹研究所 分子リガンド探索研究チーム)、中野雄司、瀬戸秀春(基幹研究所 中野生体膜研究室)

キーワード

ブラシノステロイド、マクロファージ、動脈硬化症、トクホ

本技術の特徴

我が国をはじめ、欧米を含む多くの国々では、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化に起因する疾患が死因の多くを占めています。動脈硬化症の中でも、マクロファージに由来する泡沫細胞が血管内膜にプラ-クを形成するアテローム性動脈硬化症(粥状動脈硬化症)は、発症頻度も高く、特に問題視されています。アテローム性動脈硬化症の発症には、俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれる酸化LDL (ox-LDL)が深く関与していることが知られています。血管内膜に侵入したLDLが酸化修飾を受け、ox-LDLとなると、マクロファージはこれを排除するために、スカベンジャー受容体を介して酸化LDLを細胞内に取り込み、やがてマクロファージはlipid droplet(脂肪滴)を多量に含む泡沫細胞となり、血管内皮下への脂質の沈着を招き、遂には動脈硬化症を引き起こします。

ブラシノステロイド誘導体を用いた動脈硬化症の予防

本発明者らは、植物ホルモンとして知られるブラシノステロイドが、アテローム性動脈硬化症発症を抑制する可能性を検討するために、ox-LDLによって誘導されたマクロファージの増殖に対するブラシノステロイドの影響を検討しました。その結果、ブラシノステロイドおよびその誘導体は、ox-LDLによって誘導されたマクロファージの増殖を抑制し、アテローム性動脈硬化症の発症を抑制できることがわかりました。また、ブラシノステロイドは、強力な免疫抑制剤として知られる合成グルココルチコイドの一種デキサメタゾンとは異なり、マクロファージの活性化にともなうNOの産生やガン細胞に対する細胞障害活性を阻害しないことがわかりました。これらの結果から、ブラシノステロイドには、マクロファージが担う細胞性免疫機構には影響せずに、動脈硬化の発症を抑制する効果がある事が示されました。

(文献情報)

  1. 特開2009-046443

(2011年6月掲載)