肝線維化活動度を検出するための血中マーカー (理研No:10253)
発明者
小嶋聡一 (ASI 分子リガンド生物研究チーム)
キーワード
LAP断片、 線維化活動度、非侵襲的
背景
肝臓は極めて高い再生能力を有する臓器である。しかし、ウイルス感染やアルコールなどが原因となり、肝細胞が傷害を受け炎症が慢性化すると、再生が正常に行われなくなり硬い再生結節と線維組織が形成される。これが肝臓全体に広がると肝硬変となる。しかし、これまで肝硬変を始めとする硬化性疾患の線維化活動度を測定する技術、特に非侵襲的な血液検査法が確立されておらず、新薬開発の遅れの原因となっている。
技術の概要
肝硬変の原因となる線維タンパク質の異常産生を引き起しているのはサイトカインTGF-βである。 TGF-βは、プロペプチドであるLAP(Latency-associated protein)に疎水結合によって包まれた高分子潜在型分子として産生され、その後標的細胞上でプロテアーゼの作用で活性化されて働く。 弊所研究者は肝疾患病態形成時にTGF-β活性化反応に働くプロテアーゼを同定し、同プロテアーゼによるTGF-β活性化反応の過程で生じ、血液中に放出されるLAP断片(LAP-D)に着目して検討を行った。 C末LAP-Dを特異的に認識する抗体(L59)を用いたELISA法、並びに組織に残るN末LAP-Dを特異的に認識する抗体(R58)を用いた免疫組織染色法を用い、動物モデルおよび臨床検体の解析を行った。その結果、LAP-Dが線維化初期段階F1, F2で高値を示す、これまでなかった線維化活動度を反映する血液マーカーであることを見出した。
(文献情報)
- 原詳子、桐田暁子、松浦知和、他:肝臓 2011; 52(Suppl.1): A359.
- 特許第4653660号
TGF-βはPLKによるLAPの切断により活性化される
慢性肝炎における血漿L59 LAP-D値の変化
利点
- 肝線維化初期段階F1, F2(New Inuyama Classification)を非侵襲的に検出することができる。
応用
- 肝硬変の進行度を測定するための臨床検査薬、基礎研究用試薬
(2012年1月掲載)