ビーム電流計 (理研No:10191, 10446, 20639 )
発明者
渡邉 環 (仁科加速器センター )
背景
重イオンビームのDCビーム電流測定には、従来DCCT (DC current transformer)が使用されてきましたが、1μA以下の分解能で測定することは困難で、重イオン加速器の場合はビーム電流が低いために、さらに高い分解能を有するビーム電流計が切望されていました。そこで、脳磁や心磁の測定に利用される超電導量子干渉素子SQUID をビーム電流計に応用したSQUIDモニターが開発され、nAオーダーの電流分解能で測定が可能となっていますが、超電導部に低温超伝導体を用いたSQUIDモニターにおいては、液体ヘリウムによる冷却が必要で、製作費やランニングコストが高価であるという問題がありました。
技術の概要
理研の研究チームは、超電導部に高温超電導体を用いることで、これらの問題点を解決しました。高温超電導体は臨界温度が高く、さらに、高温超電導体は冷凍機によって冷却されているため、装置はコンパクトになり、ランニングコストも大幅に低減する事が可能となりました。高温超伝導SQUIDビーム電流計は、コンパクトで安価ながらも、低温超伝導ビーム電流計に匹敵した性能を実現しようとしています。
超伝導体の筒の内部をビームが通過すると、マイスナー効果によって超伝導の表面に遮蔽電流が流れます。ブリッジ部に高温超伝導 SQUIDを置くことにより、遮蔽電流が生ずる磁場を高感度に測定し、正確なビーム電流値が得られます。
(文献情報)
- 特許4550375
- 特許4252908
- 特許4716872
SQUIDを用いたビーム電流計プロトタイプ
応用
- 加速器における使用に留まらず、半導体製造におけるビーム注入量の正確な非破壊計測・制御への導入も可能
(2013年2月掲載)