光官能性架橋試薬を用いた磁気ビーズへの化合物の固定化方法(理研No: :10019,22654)
発明者
長田裕之(基幹研究所 長田抗生物質研究室 )、太田邦史(東京大学大学院総合文化研究科) 他
キーワード
磁気ビーズ、探索研究、抗体作成
本技術の特徴
磁気ビーズは免疫沈降、抗体作製、細胞分離等様々なアプリケーションに使用されており、生物学研究において非常に有用な研究ツールです。しかし、磁気ビーズにタンパク質等を結合させる際には、トシル基やエポキシ基等を用いるため、その結合の配向性はある一定の方向に限定されており、必ずしも必要な部位が提示される訳では無く、目的の抗体あるいはタンパクが得られない可能性があります。また、低分子化合物等のアミノ基をほとんど有しない物の場合、アミノ基を介した磁気ビーズへの結合は困難です。これを解決する手段として、例えばキャリアータンパク質を介する方法、ビオチン化によるビオチン-アビジン結合を利用する方法等が挙げられますが、これらは抗原分子の立体構造に影響が出る、あるいはキャリアータンパク質に対して、又はビオチン化部位に対して抗体が得られてしまう等の問題があります。
弊所では固相担体への低分子化合物の固定化法として、光官能性架橋試薬を用いた方法を開発しました (ref1)。この方法はラジカル等の活性種を発生し得る化合物を固相担体に結合させておき、そこに化合物を含む溶液を接触させ、紫外線照射によって活性種を発生させることによって化合物を共有結合にて架橋させる方法です。
しかし、固相やアガロースビーズへの結合条件では磁気ビーズへの固定率が著しく低く、期待される効果を得る事が出来ませんでした。そこで、弊所および東大において鋭意検討した結果、磁気ビーズに安定的に結合させる方法を新たに開発いたしました(ref2)。
この方法により、従来磁気ビーズへの固定化が困難であった疎水性タンパク質であるサイクロスポリンA等に関する抗体を抗体ライブラリーより獲得出来ました。また、免疫抑制剤であるラパマイシンを結合したビーズを用いJurkat細胞の抽出物と反応させたところ、ラパマイシンのターゲットタンパクであるFKBP12を精製する事が出来ました(fig)。
これらの結果から、本発明を用いれば従来磁気ビーズへの固定が困難であった抗原に対して、ファージディスプレイ法等の抗体ライブラリーからの抗体の獲得、また、ターゲット未知の低分子化合物のターゲット探索、分子標的低分子薬等の非特異的な結合タンパクの有無の検証を、磁気ビーズを用いる事により可能となる事が示されました。
(文献情報)
- 特許番号 3901120(日本)、7713706(米国)
- 特願2010-110952 他
(2011年7月掲載)