理研から生まれた製品
基礎研究による新しい発見や発明が、産業界を活性化する画期的な製品開発につながります。しかし、その発見や発明がどんなに優れていても、素晴らしい製品に生まれ変わることは容易ではありません。基礎研究者と企業の開発研究者、さらに製品開発にかかわる多くの人たちが情熱と信念を持ち一丸となって製品化を目指し、いくつものハードルを乗り越えてこそ、社会に役立つ新しい製品にたどり着くのです。
2000年代
電子血圧計「PASESA」
共同研究➝ライセンス
血圧、心拍数、脈圧を測定すると同時に心臓に近い中心動脈の硬さや状態を示す
「AVI」と抹消血管の硬さや状態を示す「API」を提供する血圧計PASESAが薬事認可を得て販売開始されました。このAVI指数は、理研と株式会社志成データムの共同研究による新しい理論と原理に基づき、従来の電子血圧計で測定される脈波を解析することにより算出され、次のような使われ方が考えられます。
- 糖尿病、腎臓病、生活習慣病患者を対象とした疾病管理や予防、治療効果確認
- 川崎病などの小児を対象とした循環器疾患のモニタリング
- 一般健常者を対象とした健診施設における生活習慣病健診
血圧計PASESAは、動脈硬化リスクの評価装置として、主に大学病院、健康管理センターやフィットネスクラブ等へ導入もしくは導入検討が進んでおり、従来のベッドで寝た状態で測る血管の柔軟性測定装置では実現できない次のメリットがあります。
- 普通の血圧測定と同じ感覚で誰でも測れる。車いすのままでも、超高齢でも、小児にもやさしい測定。
- 介入(治療)に対して感度が高い指標である。
- 家庭用血圧計にも簡単に応用できる技術である。
- カフ一つで中心動脈と上腕(末梢)動脈がそれぞれ同時に個別に評価できる。
- 血圧、心拍数、脈圧も同時に測定できる。
担当研究室:臓器全身スケール研究開発チーム
共同研究先:株式会社志成データム
ご参考:『理研ニュース』2012年8月号特集「血管の硬さが分かる血圧計を共同開発
仁科春果・仁科小町
上:仁科春果
下:仁科小町
共同研究➝ライセンス
八重咲きのサクラ「春月花」の枝に炭素イオンを照射し、接ぎ木をして開花した照射集団内で自然に受粉させ、後代の種子を得ました。2009年にその種子をまき、2012年4月、開花した集団から2つのサクラ新品種を作出することができました。
仁科春果(にしなはるか)は、花の大きさが春月花に比べて4.1~4.2㎝と大きく、花弁数が23~25枚と安定した八重咲きです。
仁科小町(にしなこまち)は、花の大きさが1.3~1.4cmと小さく、花弁数も5枚で一重咲きです。サクラでは珍しく、花が完全に開かないぼんぼりのような形(ぼんぼり咲き)となりました。
担当研究室:生物照射チーム
共同研究先:JFC石井農場
ご参考:プレスリリース「重イオンビームで2つのサクラ新品種を作出」
無細胞くんQuick・無細胞くんSI
写真提供:大陽日酸株式会社
共同研究➝ライセンス
理化学研究所の無細胞タンパク質合成技術を安定同位体標識用にキット化しました。タンパク質発現確認用キット「無細胞くんQuick」および安定同位体標識専用キット「無細胞くんSI」の2種類がラインナップされております。独自の改良により同位体希釈が大幅に低減されており、高い標識効率でタンパク質を大量合成できます。
担当研究室:NMRパイプライン高度化研究チーム
共同研究先:大陽日酸株式会社
ご参考:産学連携の挑戦者たち第8回「無細胞技術応用チーム」
インライン含水率測定装置
写真提供:古河電池株式会社
技術指導(企業ニーズ由来)➝ライセンス
古河電池株式会社に技術指導を行い、分光の反射量測定による新しい含水率計を開発しました。 極板の含水率を最適値に保ち、塗り付ける活物質の量を減らしてコストダウンと軽量化を図るとともに、組立工程内の不良率を下げました。
担当研究室:超分子科学研究室
共同研究先:古河電池株式会社
ご参考:『理研ニュース』2011年2月号(特集)産学連携で鉛蓄電池の性能向上を図る
琥珀を使った化粧品
写真提供:株式会社ヤマノビューティメイト
海洋生物由来の蛍光タンパク質
写真提供:株式会社医学生物学研究所
共同研究➝ライセンス
株式会社医学生物学研究所、Amalgaam 有限会社と共同で、 海洋生物由来の様々な蛍光タンパク質を発見しました。紫外光照射により蛍光特性が変化する「Kaede」、励起光と蛍光との波長差が長い「Keima」等により様々な用途に応じてリアルタイムイメージングを行うことが可能になりました。
担当研究室:細胞機能探索技術開発チーム
共同研究先:株式会社医学生物学研究所、Amalgaam 有限会社
シロイヌナズナ専用分注スプーン
写真提供:株式会社バイオメディカルサイエンス
理研ノウハウ➝ライセンス
株式会社プレシエンス、株式会社バイオメディカルサイエンスと共同開発した、シロイヌナズナ種子専用の分注スプーンです。種子を正確に50粒、200粒計り取ることができ、貴重な種子の無駄遣いを防止することができます。
ノウハウ実施許諾先:プレシエンス
仁科誉
埼玉県産業技術総合センターと共同で、重イオンビームによる変異誘発技術を用いて吟醸酒用の新しい酵母の開発に成功しました。2011年には、この酵母を使ってつくられた日本酒が、埼玉県内3カ所の酒蔵からそれぞれ、「純米大吟醸」「純米吟醸」「吟醸本生」として販売が開始されました。これらのお酒は、各酒蔵の協力により理研のプライベートブランド「仁科誉(にしなほまれ)」という銘柄でも2011年11月から販売されています。
担当研究室:生物照射チーム
共同研究先:埼玉県産業技術総合センター
ご参考:理研ブランドの清酒「仁科誉」
仁科乙女
バイオマイクロプレートリーダー「HiTS」
写真提供:株式会社サイニクス
96ウェルマイクロプレート専用バイオマイクロプレートリーダーは、振とう機能・恒温機能・吸光度測定機能・蒸発抑制機能を標準装備し、専用ソフトも付いたオールインワンタイプです。
担当研究室:長田抗生物質研究室
ノウハウ実施許諾先:株式会社サイニクス
オリビア ピュアレホワイト
写真提供:北興化学工業株式会社
仁科蔵王
写真提供:JFC石井農場
自動車部品の新しい加工技術「ELIDホーニング工法」
写真提供:富士重工業株式会社
技術指導(理研シーズ由来)➝ライセンス
理研の技術「ELID研削法」を応用した新工法「ELIDホーニング工法」を用いることで、自動車エンジンのシリンダー内径部分の仕上げ加工時間の短縮と、加工精度の向上および安定化を実現。「ELID研削法」を自動車のエンジン部品量産加工技術に適用するのは世界初。加工時間の短縮から生産能力の拡大、消費電力の低減が可能になることに加え、砥石(といし)寿命の延長効果も得られるなど優れた工法であることから、今後幅広い応用が期待できます。
担当研究室:大森素形材工学研究室
共同研究先:富士重工業株式会社
ご参考:プレスリリース(2006年5月30日)自動車部品の新しい加工技術「ELIDホーニング工法」を共同開発
自動結晶化観察ロボットシステム「TERA」
写真提供:竹田理化学工業株式会社
大型放射光施設SPring-8の放射光を用いたタンパク質の構造解析に使用する結晶を自動生成するとともに、結晶の成長状況を管理できる“オールインワン”のロボットシステムです。 第2回ものづくり日本大賞中国経済産業局長賞を受賞。
担当研究室:播磨研究所 構造生物物理研究室
共同研究先:竹田理化工業株式会社、エステック株式会社、アドバンソフト株式会社
ご参考:プレスリリース(2002年5月9日)自動結晶化観察ロボットシステム「TERA」の開発
重イオン育種法
写真提供:サントリーフラワーズ株式会社
加速器で加速した重イオンビームによる突然変異誘発法を用い、連続開花性に富む花持ちの良いバーベナ3品種、優雅な濃いピンク色の新色ペチュニア、白と紫がかったピンク色の新色トレニアなど、次々と品種改良に成功しました。重イオンビームによる育種は、理研発の日本独自の技術です。花か卉き植物だけでなく、耐塩性イネの開発など農作物にも利用しています。
担当研究室:生物照射チーム
1900年代後半
微分型電気移動度測定装置(DMA)
電気移動度の粒径依存性を利用して、気相中に浮遊するナノメータ領域の粒子を分級・計測する装置
担当研究室:ナノ物質工学
筋肉・神経系作用アミノ酸組成物
共同研究➝ライセンス
多くのトップアスリートが、持久力向上のために活用していることで有名なスポーツ飲料「VAAM(ヴァーム)」。これは、スズメバチの幼虫の栄養液に含まれるアミノ酸17種類の混合液を、人工的に再現したものです。VAAMは体脂肪燃焼以外にも、自律神経系の調節やアルコールに対する肝機能保護など、さまざまな機能を持つことが明らかになりつつあります。
担当研究室:昆虫生態制御 阿部特別研究室 特別招聘研究員
重カリ農薬
KHCO3を有効成分とし、グリセライドでコーティングしたことを特徴とし各種作物うどんこ病に顕著な防除効果。
より安全な農薬開発のために食品添加物にも使われる化学物質を用いたこれらの農薬は、優れた防除効果がある上、肥料としても働き、植物の対病性を高める効果があります。カリグリーンは、米国カリフォルニア州の「オーガニックワイン」用ブドウ栽培農園の9割以上に使われています。
担当研究室:微生物制御
ご参考:『理研ニュース』2012年1月号(特集)SaFE農薬、完成へ
ELIDによる鏡面研削
微細砥粒と、加工しながら電解ドレッシングを組み合わせることにより研磨に匹敵する加工精度がえられる研削法
担当研究室:素形材工学
アルカリセルラーゼの製法
アルカリ側に活性を有し、洗剤に配合することにより繊維を膨潤させ洗剤の浸透を容易にし、洗浄力が格段にアップ
担当研究室:微生物生態学
許諾期間:~1990年