多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
RUNXファミリーの異常による細胞分化制御破綻と新たなMDS発症機構の解明

原田 浩徳
研究代表者
原田 浩徳
広島大学原爆放射線医科学研究所・講師
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研究内容

 本研究では、造血器腫瘍の原因となる未同定のRUNX転写因子ファミリー異常を検出し、これまでに明らかになっていなかった新たな造血器腫瘍の発症機序、さらに造血幹細胞分化制御機構を解明する。

 研究代表者のグループは、RUNX1遺伝子のゲノム異常が幾多の造血器腫瘍の発症過程で細胞分化障害の中心的役割を担うことを解析・報告してきた(Blood 2003, 2004, 2009, 2010)。その特長は、患者で遺伝子異常を見出し、病態に基づいて遺伝子異常からの発症メカニズムを推測して機能解析を行う、という臨床と基礎の橋渡し的な研究、という点である。当研究領域長(北村博士)と共に、これまでにRUNX1やCEBPA変異がMDS病態を規定する遺伝子異常であることを示した(Blood 2008, 2011)。しかしRUNX1の転写調節には未解明な点が多く、エピジェネティックな変化が造血器腫瘍に及ぼす役割は不明である。またRUNX1以外のファミリー因子であるRUNX2、RUNX3については、造血器腫瘍における病的意義が全く解明されておらず、高い相同性やノックアウトマウスの血液所見などから、何らかの造血器腫瘍に関わっている可能性が示唆される。本研究では、これら未解明のRUNX転写因子ファミリーの異常による造血器腫瘍発症メカニズムおよび造血幹細胞分化制御機構の解明を試みる。

主な論文

* correspondence
研究代表者
原田 浩徳

Imagawa J, Harada Y, Shimomura T, Tanaka H, Okikawa Y, Hyodo H, Kimura A, and *Harada H.
Clinical and genetic features of therapy-related myeloid neoplasms after chemotherapy for acute promyelocytic leukemia.
Blood. 116: 6018-6022, 2010.  

Ding Y, Harada Y, Imagawa J, Kimura A, and *Harada H.
AML1/RUNX1 point mutation possibly promotes leukemic transformation in myeloproliferative neoplasms.
Blood. 114: 5201-5205, 2009.  

Harada Y, and *Harada H.
Molecular pathways mediating MDS/AML with focus on AML1/RUNX1 point mutations.
J Cell Physiol. 220: 16-20, 2009.  

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